こうの史代「この世界の片隅に」
もうすぐ8月。
原爆投下の日、終戦の日がめぐってきます。
日本人として知らなければ、
と思いつつ、
好きな読書でも読むのが辛すぎて
戦争関係の本は敬遠しがちです。
意識して戦争関係の本を選んでも
辛くて、可哀そうで、
たいてい一度読んだきりで手放してしまい
二度は手にとらず、、、。
それでも、この時期にはせめて1冊でも2冊でも、
と思い、今回は
本というよりもマンガを選んでみました。
ドラマにもなり、映画にもなり、
アンジェラ・アキさん作曲でミュージカルにもなった作品です。
ちなみにドラマもアニメも舞台も観ていないので
この原作マンガで、初めて物語に触れました。
広島県江波に生まれ育った主人公すずの
幼少期から終戦後までのお話でした。
絵が描くのが好きだった少女時代。
軍港のある呉に嫁いだ婚家での日々。
日本が戦争へと足を踏み出し、
徐々に厳しくなる生活と激しくなる空襲。
故郷である実家とその家族の上に落とされた原子力爆弾。
そして、訪れた終戦とその後。
当時の日常が細やかに描かれるすぐ横に
それを粉々に砕く暴力があります。
死は日常で、
死体を見ても何とも思わなくなった自分を
すずは「歪んでいる」と感じます。
いつもはおっとりと「大陸的」なすず。
現代にも通じる夫や婚家との関係や
知り合った人たちとの温かな交流。
今の世に生きれば、穏やかに好きな絵を描き
周りの人々と笑って毎日を過ごしたでしょう。
それが、
「うるさいねぇ」と敵機を睨み、
敗戦を伝える玉音放送に
「国の正体」を見て絶望、慟哭する。
強くありたいと願う一方で
どこかで自分を殺し麻痺させないと
生き延びていけない過酷さが胸に応えました。
私自身も今の世の片隅で生きている1人。
今も、娘たちが生き続けるこの先も
誰も暴力によって泣くことのない
平和な世界であってほしいです。
そのために私ができることは何でしょう。
ここまでお付き合いくださった方、いつも来てくださる方もありがとうございましたm(_ _)m
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