Time is life

毎日笑って過ごします^^

年始の検査結果と山本文緒さんの「無人島のふたり」

2021年10月、好きな作家さんの1人だった山本文緒さんがすい臓がんでご逝去されました。


生前、ご自身で「記録魔」だとおっしゃっていたので、きっと闘病中も日記を書かれていたであろうし、その日記が出版されるだろうと思っていました。
案の定、出版されたものの手に入れて読むのをためらっていました。


おそらく、それは自分も同じがんという病気の治療中だから。
読むのが怖い = 知るのが怖い
肌感覚で、末期の方の病状や死までの道のりを知るのが怖い、という。


でも、改めて考えてみるとこれは愚かなことです。
病気であろうとなかろうと、明日の自分の命は確約されていません。
もしかしたら、事故にあうかもしれませんし、大きな災害が来るかもしれません。
確実なのは、「今」生きているということだけ。


ということで、今年の年明けに半年に一回の定期検査を受けた結果を聞きに行った帰りに、本屋さんへ寄って、山本さん最後の文章を手に入れて心して読もう! と決意していました。


何かしらのきっかけがないと手にとれないところに私の軟弱さがでておりますが(--;;;


この度、病院帰りに無事に手に入れて、読了致しました。


無人島のふたり―120日以上生きなくちゃ日記―
無人島のふたり―120日以上生きなくちゃ日記―
新潮社
Digital Ebook Purchas


毎年必ず人間ドックを受け、お酒もたばこも13年前に止めてから手をつけず、専業の作家生活も無理をしない程度のペースを保ち、食生活もさほど無茶をしていない。


夫と2人の気楽な生活を続け、自分は90歳くらいまで生きて皆を看取るぐらいの気持ちでいた作者が体調不良となり、受けた検査で見つかったのがステージ4のすい臓がん。
抗がん剤治療なしで余命4ケ月。
抗がん剤治療をして余命9ケ月。
抗がん剤治療に挑みますが、あまりの過酷さに1回でリタイア。在宅での緩和ケアを選びます。


ノートに「体験記」のつもりで書き綴ったという日記。
作者の中で一定の線引きをしていたようで、ハードすぎた治療の内容や入院の様子などの詳細はなく、『120日後に死ぬフミオ』という本を出したらパクリとか言われるかな、など作者らしい肩の力を抜いたような文章も随所に見られます。


余命宣告をされながらも、Xディはもっと先のことのように感じ、でも、刻々と衰えていく体、増えていく薬、「こんなにも予定の立たない暮らしは初めて」と思いながらこなす「やるべきこと」と「やりたいこと」、残される夫への気遣い、訪ねてきてくれた人たちとの「おそらく最後」のひととき、そして、たまる腹水に医師から「そろそろ週単位で時間を見ましょう」と告げられます。
最後の一文まで涙しながら読みました。


本はとても美しい装丁で、作られた関係者の方々の愛を感じます。
たくさんの良作を私たちに届けてくださった山本文緒さんのご冥福をお祈り致します。



そして、私の検査結果は問題なしでした。ホッとしました^^


次はまた半年後に検査ですが、生きている今日が奇跡、ぐらいの気持ちで楽しく感謝をもって1日を過ごします。



皆様の1日も良い1日でありますように。



ここまでお付き合いくださった方、いつも来てくださる方もありがとうございましたm(_ _)m