実際の事件をもとにした長編、
というので読んでみました。
昭和54年、大阪で発生した三菱銀行籠城事件。
犯人は支店長と警察官、計4人を射殺。
ほんとうに死んでいるか確認するため
撃たれて倒れている被害者の耳を
別の行員に切り取らせる、
という異常な行動にまで出ています。
タイトルになっているのは
本人の弁だそう。
「オレは精神異常やない。
道徳と善悪をわきまえんだけや」
彼が精神異常者でないとしたら
なぜこれほどまでに
残虐な犯罪を犯すに至ったのか。
高度経済成長期、
戦後最大のベビーブームの年に生まれた
同年の新聞記者が、
当時の時代を背景に、
息子を溺愛していたという母と
彼と関係を築いた女性
2人に肉薄していきます。
桜木先生がこちらを書くきっかけになったのが
犯人を説得するために呼ばれた母が
現場に行く前に
2時間かけて美容院で髪をセットした、
という「事実」だったそう。
その行動の奥にある
母親の心理はどのようなものだったのか。
こちらの小説の
どこまでが真実か分かりませんが
事実だとしても
フィクションだとしても
母親と愛人、2人の生涯は恵まれず
社会や世間、男性たちに対して
対抗する術を持たずにただただ弱いだけ。
その弱い立場の母、愛人に対し、
犯人の男性はときには優しいものの
いつ切れるか分からない緊張感をはらみ
瞬間的に人が変わって恫喝と暴力を繰り返す。
その根底にあるのは、
ぬぐい切れない被害者意識と
多くの同級生の中から浮上できない苛立ちです。
こういう人間に育てないために必要なのは
やはり家庭と教育なのでしょうか。
それだけで足りるのか。
時代は?
社会は?
完全に無関係なのか。
いろいろと考えさせられる長編でした。
著者、
毎日新聞社会部編「破滅」というルポタージュ本と
おそらく小説の新聞記者のモデルと思われる
近藤勝重氏という故人に謝意を示されています。
「破滅」の方も読んでみようと思います。
ひさしぶりの青空。
明治神宮様へ。
境内、ほとんど海外の方たちでした。



世界と日本と皆様の平和も祈ります。
お読みいただき
ありがとうございました🙏






