Time is life

毎日笑って過ごします^^

花よりも米をくれ! 中山可穂「花だけはくれるな」

先日アップした記事。本は新刊? 中古? 借りる?? - Time is life
本を新刊で買うかどうか、でした。


若い頃の私は、「作家」というのは「職業」というよりも「業」のようなもので、
食べるために書くというよりは、
書かずにいられないから書く!
という方がなるものだと思っていました。


今でもそう感じる部分はありますが、
反面、親元から巣立ちし、パートナーと一緒とはいえ独立して生活するにつれ、
「作家」といえども人間。
生活もあるよなぁ、と思い始めました。


その頃に出会ったのが、
中山可穂先生の「花だけはくれるな」というエッセイでした。
山本周五郎賞をとった「白い薔薇の淵まで」という文庫版の本に収録されています。
話題になったエッセイだったのでご存じの方も多いかもしれません。


そのエッセイの中で、著者は、
受賞祝いに続々と届く高価な花たちに埋もれながら、呪詛のように綴っています。


作家の生活の厳しさを誰もわかっていないところに、わたしは打ちひしがれる思いがする
顰蹙を買うのを承知で、あえて言いたい
わたしによい小説を書かせたいと思ってくださるなら、お米券、お食事券、旅行券、図書券、商品券を与えたまえ! もちろん現金も大歓迎です


中山可穂先生、
当時の作品たちは肌がひりひりするような壮絶な恋愛物(女性同士の)で、
ちょっと息抜きに、とか、
さらりと斜め読み、とか、
絶対に許されない雰囲気だったので、
作風とエッセイとのギャップが凄すぎて、忘れられないものとなりました。


同時に、本屋さんに平積みされて話題にものぼる作家さんでも、
ペン1本で「食べて行く」のは大変なのだなぁと実感した次第です。


以来、「これからも」「書いて欲しい」作家さんの本は意識して買うようになりました。


私が持っている文庫本の「白い薔薇の淵まで」はその後、絶版になり、
昨年、河出書房で復刊されました。
復刻版にエッセイが収録されているかどうかは不明ですが、
エッセイだけでしたら、「小説を書く猫」という作者唯一のエッセイ集に収録されています。


小説を書く猫
小説を書く猫
祥伝社


前世は猫だったという著者。
こだわりが強く気難しい一面を見せながら、クスリと笑える等身大の姿が堪能できたり、
深く作品とリンクしている時々の心情や生活が垣間見えたりと楽しめます。


中山先生、寡作です。
毎年、必ず新刊が出るとは限りません。


作家さんもですが、ブロガーさんも。
プツリと音信が途絶えると気になります。
が、
お元気で生活されていると信じて。
次の「便り」をじっと待ちます。




横浜イングリッシュガーデンの薔薇。




ここまでお付き合いくださった方、いつも来てくださる方もありがとうございましたm(_ _)m