Time is life

毎日笑って過ごします^^

本当のところは実感できませんが、、、

芥川賞を受賞した「ハンチバック」を読みました。


タイトルの意味は「せむし」。
著者の市川沙央さんは作品の主人公と同じ
ミオチュブラー・ミオパチーという
筋肉の先天的な病をお持ちです。
遺伝子のエラーによって、
健常者のように立ったり座ったり、
呼吸したりすることができない難病。



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40代の主人公は、資産家の両親のおかげで
経済的には恵まれ自立した立場にあります。


入浴など1人でできないこともありますが、
食事や排せつなどは1人でこなせます。


が、その生きるためにしている
生活の中のひとつひとつが、
彼女には限りなく困難な一大事業です。


理不尽な運命や、鈍感な社会、
障がい者へ向けられる不穏な蔑み。
怒りや諦念も含めて、
著者が抱えているであろう
痛みや、やるせなさや、切なさが
深く伝わってきます。
と同時に、
全編に渡って非常に冷静な印象も受けました。
感情に任せるだけでない理性と知性が
全体をきちんとコントロールしているような。



介護のお仕事の際、
全身、半身にマヒのある方や、
ALSの方たちのお世話もありました。


思考がはっきりしていても、
脳の指令が体には伝達されず、
思ったように言葉にならなかったり、
体が動かせなかったりします。


お気持ちを察することはできても、
それを本当の意味で実感することは
できなかったと思います。


身近にそういった方がいらっしゃらなかったり、
医療や福祉関係の仕事とも縁がない場合、
(たとえばうちの娘たちのように)
考えるきっかけすらない生活だと思います。


著者、読書バリアフリーの推進を訴えているとのこと。
「紙の本」を読む大変さは
本書の中でも語られています。


本当の辛さや痛みを実感できなくても、
知って、気持ちを察することはできると思います。


自分のできる範囲になりますが、
支援と応援をしたいです。



こちら地方、ここ数日ずっと青空。
寒くはありませんが、風が強いです。



ここまでお付き合いくださった方、いつも来てくださる方もありがとうございましたm(_ _)m