有吉佐和子「恍惚の人」と、まだ介護とも言えない私たち
実家の母のことで、
ちょっとしたことがあり
_| ̄|○
夕食時に、旦那君と娘にこぼしたら、
娘B、
「介護って大変だね。
ママ、胃に穴があいちゃう」
(≧▽≦)
いやいや、娘。
まだまだ我が家など「介護」とも言えない。
せいぜい入口に立って、
中を覗き込んでいる程度です。
母の気まぐれと暴走は昔からで
老化とは関係ありませんし、
最近、両家に通ってはいますが、
両方の親たちとも、
・買い物に行かれる
・自分たちで食事がとれる
・トイレに行かれる
・入浴できる
・通院も服薬も基本的に自分たちでOK
・身の回りの整頓や掃除もできる!
もろもろ衰えは目立ちますが、
疑いなく自立しています。
この状態で認定調査を入れても
要支援にもならず、
「頑張っていらっしゃいますね」
と称賛されて終わりでしょう。
4人の祖父母が揃って元気なため、
我が家の娘たちは本当の介護を知らないのだ、
と思いました。
そこで、ふと思い出し、
有吉佐和子氏の「恍惚の人」を再読してみました。
以前読んだのははるか昔。
それこそ、今の娘たちと同じ年代だったかと。
若い私には「物語」でしかなかった世界。
50年以上前に書かれた小説ですが、
まったく、
まったく!
古さは感じませんでした。
主人公の女性は、当時では珍しい「職業婦人」。
合理的な考えの持ち主で、
洗濯乾燥機を導入したり、買い物は週末に1度。
その食材を使って、家族3人、
1週間分の料理を「つくおき」しています。
リズムよく生活を回していたところ、
同じ敷地内に住む、義母が兆候もなく急逝し、
実の娘ですら「誰からも嫌われている」と言う
意固地で意地悪な義父だけが残されます。
その義父が、異常な行動をとるようになり
食事だけをねだり、
食べ物を与えないと子供のように泣き、
目を離すと脱走して徘徊。
排泄、入浴の介助は必須で、時間が空くと、
尿だけでなく、便まみれになる、、、
今でこそ、「介護あるある」ですが、
発表当時は介護保険などない時代。
介護はほぼ、家の中で行われ、
おそらく、衝撃を持って読まれたことでしょう。
主人公の夫は、父の姿に
「自分もこうなるのか」と愕然とし、
息子は、
「こんなにしてまで生きたいものかなあ。
パパも、ママも、こんなに長生きしないでね」
と言い放つ。
様々な局面を乗り越えながらも、
主人公が自分に冷たかった義父を
決して見捨てずに献身的に世話する姿が
是非を超え、崇高ですらあります。
医学の進歩により、
「生かさず殺さず」の状態で生きる人が増える
と予見する、
有吉佐和子氏の慧眼に感服しました。
私自身、自分を失ってまで
長生きしたくありませんが、
自分で選べないのが寿命というもの。
自分に対しても、親に対しても
今、できる限りのことをするのみです。
娘Bのアルバムより。
光あふれる、ディズニー・シー。
ここまでお付き合いくださった方、いつも来てくださる方もありがとうございましたm(_ _)m
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