Time is life

毎日笑って過ごします^^

葉真中 顕「ロスト・ケア」

この春に映画が公開されるようで広告を見かけるようになり、再読しました。
私が持っていたのは2015年発売の文庫本で、読んでからもう8年経っている計算です( ゚Д゚)
大変印象に残っている本なので、そんなに前だったのかと驚きました。


ロスト・ケア (光文社文庫)
ロスト・ケア (光文社文庫)
光文社
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当時、すでに介護職についていたため、介護業界を扱った社会派ミステリーということで手にとりました。


恵まれた家庭に育った正義感の強い検察官
勝つことだけに人生の価値を見出すビジネスマン
母親の介護に疲弊する若い母親
介護保険の改正に振り回される介護業界と悪化する条件下で過重労働を強いられる介護職員
そして、ある一定の条件を満たした高齢者ばかりを殺害していく<彼>


それぞれの視点から物語は進んでいきますが、初版の発売から10年経っているにもかかわらず、提起された問題点はまったく変わっていないと感じます。


ここに書かれた介護の現場は決して「物語」ではなく現実に「あるある」です。


介護する側の虐待はニュースになりますが、残念ながら、介護される側の暴言、暴力もあります。
誰もが世話をしてもらって「ありがとう」と感謝してくれる世界ではありません。
ましてや家族に対しては。


家族内介護を助けてくれるはずの介護保険も万能ではなく、お金もかかります。
格差は高齢になっても続き、財産や資産を持っていない高齢者を支える家族の負担は大きいです。


介護問題と密接にかかわってくる少子高齢化についても言及があり、登場人物の1人が、
「人口は安定した予測ができる。少子高齢化というのはある年突然そうなったのではなく、予測可能な範囲の中で長年積みあがってきたものなのです」
と説明する場面があります。


人口に「想定外」はないということです。
10年前ですら(実はもっと以前から、、、)重大な問題として取り上げられていたことを、日本は今になってもまともな改善策すらとれずにいます。


42人の高齢者たちを殺害した<彼>の言い分。
小説は大変な力作で再読でもやはり引き込まれ、色々と考えさせられました。
映画にも注目したいと思います。



ミュージカル「キング・アーサー」、配信が決定したようです♡ 嬉しいです\(^o^)/
関係各位の方々、ありがとうございます^^
無事に幕が上がりますように!!



ここまでお付き合いくださった方、いつも来てくださる方もありがとうございましたm(_ _)m