Time is life

毎日笑って過ごします^^

吉村昭「三陸海岸大津波」

少し前にアップした記事。
いざという時が来たら - Time is life


この時に思い出した彩瀬まるさんのご本を
もう一度読んでみようと本棚を漁ったところ、
一緒に吉村昭先生の「三陸海岸大津波」が出てきました。
(私の中で、彩瀬さんはお若いので「さん」というイメージで、
吉村先生は、偉大な大作家というイメージで「先生」です。
失礼にあたったらごめんなさい、、、(-_-;))



東日本大震災の後、何冊か関連本を読みましたが、
この2冊以外は、あまりにも被災地や被災者に密着した内容だったため、
一読して辛すぎて手放してしまいました。


彩瀬さんのご本は、彼女が一介の旅行者であり、
被災しながらも数日で被災地を脱出して自宅へ戻ることができたこと、


また吉村先生のご本は、東日本大震災前に三陸で起きた3つの津波についての記録で、
丹念な取材に基づいたものではありますが、
「今ではない」、歴史ととらえることができたため、
何かの折にまた読もうと思って手元に残してありました。


彩瀬さんのご本は前回思い出した印象通りでした。
一人旅の途中、電車内で被災。
たまたま居合わせた地元の人たちに助けられながら、
数日かけて関東圏の自宅へ帰りつくまでと、


落ち着いてから、改めて被災地へ入りボランティア活動をした様子や、
当時助けてくれた人たちと再会したこと、
また、被災地と被災地以外との温度差を感じたことなどが記されています。



吉村先生のご本は、明治29年、昭和8年の地震からの津波、
昭和35年のチリ地震による津波の3つの津波について書かれていました。


実際に取材を通して得た内容とともに、当時の時代背景、人々の生活環境、
また小さなところでは、村落のありようや取材した家族たちの姿まで、
出自のはっきりとした冷静な記録として記されていますが、
そこには、今のSNSで人々が呟く膨大な声をしのぐ印象の生々しさがあります。


三陸海岸大津波 (文春文庫)
三陸海岸大津波 (文春文庫)
文藝春秋


「今にして思えば」という地震と大津波の前兆や、
実際に波をかぶって生き延びた人の証言。
沖合で翻弄される船の上からなすすべもなく家族のいる陸地に思いをはせた船上の人たち、
流される家屋を見下ろしながら、歯の根もあわない極寒に耐えなければいけなかった人たち。


拾い集めた当時の人たちの「肉声」がひしひしと迫ってくるように感じるのは、
おそらく、筆者自身が自分の感情を極力排除して、
とにかく「真実」を、その時にあった「その場」での「本当」を
知りたい、残したい、伝えたいという並々ならぬ決意があるからでしょう。


再読ですが、読んでいて鳥肌が立つような思いでした。



吉村昭先生、実は関東大震災についてもご著書があります。
持っています、、、。
少し気持ちが落ち着いたら、こちらも再読してみます。
怖いです(--;;;



ここまでお付き合いくださった方、いつも来てくださる方もありがとうございましたm(_ _)m