村上春樹「アンダーグラウンド」
今期の連続ドラマ、一番熱狂されたのは
「VIVANT」でしょうか?
ムラゴン村でも熱い感想を目にしました。
評判が高かったので1話を配信で見たのですが、
今一つ乗り切れず(^^;;;
結局、舞台俳優さんが多く出ていた
「ハヤブサ消防団」一択となりました。
役者さんたちもそれぞれ良い味を出していて
最後まで飽きさせず面白かったです。
ロケ地の美しい風景も素敵でした。
池井戸潤さん原作の「ハヤブサ消防団」
原作の方を先に読んでいました。
ドラマへの期待ふくらむ 池井戸潤「ハヤブサ消防団」 - Time is life
テーマの1つが「新興宗教」。
読んでいる最中から思い出した本があり、
ドラマも見届けたので再読しました。
村上春樹氏の「アンダーグラウンド」。
オウム真理教が1995年3月20日に起こした
地下鉄サリン事件の被害者、関係者たちへの
インタビューをまとめた本です。
- アンダーグラウンド (講談社文庫)
- 講談社
- Digital Ebook Purchas
700頁を超える大作で、
ハードカバー本の厚さが5cmくらいあります。
娘たちに「何、その本」と呆れられました。
持って読んでいるだけで、重かったです。
そして、内容もまた重い。
当時、私はOLでしたが通勤はJR線でした。
母と弟が地下鉄通勤でしたが、
被害のあった車両にも駅にも関係がありませんでした。
今は、娘Bがまさしく被害のあった駅近くまで
地下鉄を利用して通学しています。
村上氏の前文
「想像していただきたい。
それは何の変哲もない、いつもどおりの朝だった。見分けのつかない、人生の中のただの一日だった。変装した五人の男たちが、グラインダーで尖らせた傘の先を、奇妙な液体の入ったビニールバックに突き立てるまでは、、、。」
どの方の証言を読んでもゾッとします。
普通に電車に乗っていただけなのに、
突然、鼻水や咳が出始め、頭痛、吐き気、
視界が悪くなり、
中には立っていられなくなる人も出始める。
「まさか、日本で」という猛毒を使ったテロ。
警察も東京都も組織だった対応ができず、
多くの被害者が救急搬送さえされずに放置状態。
突然、渦中に放り込まれた人々の証言が生々しいです。
その中で、松本サリン事件を経験した
信州大学医学部がニュースを見て
「これはサリンではないか」と気づき、
患者が運び込まれた病院へ片っ端から
治療法をファックスで送ったという件。
学長の思いに涙しました。
現場で自分のできることを懸命に行った人たち。
そうした人々の行動の1つ1つで
救われた命がたくさんあったと思います。
自分たちは正しい。
そう信じて行動している人たちを
止めることはとても難しいです。
1つだけ言えるのは、
どんなに「正しい」大義名分があっても
人を傷つけてよい理由にはならないということ。
今でも後遺症に悩む方やご家族が少しでも癒されますように。
そして、命を落とされた方々のご冥福を改めてお祈り致します。
ここまでお付き合いくださった方、いつも来てくださる方もありがとうございましたm(_ _)m
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